こんにちは。ぼたもちです。
今日は【健診アプローチ】甲状腺腫大についてお話しします。
正直感覚的に診察している部分も多いので、今一度知識を整理してみました。
~結論~
側方からの観察で前方に凸・Pemberton徴候陽性・結節触知→内分泌科/耳鼻科紹介
甲状腺の聴診→連続性雑音あればバセドウ病疑い(腫大時のみチェック)
~受診者説明~
甲状腺腫大の原因のほとんどはバセドウ病か橋本病だが、健診指摘例のほとんどは治療の必要のないもの
結節もほとんどが良性で、悪性は2~3%
ただし、採血やエコー検査をしなければ詳細はわからないので、安心のために受診おすすめします。
~解説~
びまん性甲状腺腫大:バセドウ病、橋本病、単純性甲状腺腫、甲状腺腫瘍など
甲状腺腫大は側方から確認する(正面より側面の方が簡便でスクリーニングに適している)
輪状軟骨と胸骨上切痕を結ぶ線は通常直線だが、甲状腺腫大があると、前方に凸になる
これが有意かどうかの判断基準
Pemberton徴候(甲状腺腫大の所見)
両手の手をバンザイ→顔が赤くなる
III度以上(側方でも腫大あり)→有意
II度(正面でわかるが、側方でははっきりしない)→頸部リンパ節腫脹や結節触知されれば有意
それ以外は問題なし
甲状腺全体がかたく腫大→ほとんどが橋本病
結節(表面平滑・可動性良好)として触れる→ほとんどが腺腫様結節
結節(硬い・ざらざらしている)として触れる→まずは乳頭がんを疑う
甲状腺直上で聴診→連続性雑音+=甲状腺Bruit バセドウ病で聴取する可能性高い
有意な腫大があれば、採血(TSH・FT4)・頸部エコーが必要となるため、内分泌科もしくは耳鼻科紹介
健診での甲状腺腫大の多くは機能異常を伴わない、治療の必要がない橋本病がほとんど。
80%は機能異常なし、10%が機能低下、10%が機能亢進
触診で腫大ありと判定されても、半数以上はエコーで腫大すらない。頸部の脂肪が多いと触診で偽陽性となりやすい(特に女性)
結節ある場合は、癌の鑑別のため穿刺吸引生検が考慮される