臨床医を諦めた30代男のブログ

アルバイト医として生計を立ててます。不動産や株式投資も細々とやってます。

【健診アプローチ】甲状腺【側方からの観察で前方に凸・Pemberton徴候陽性・結節触知→内分泌科/耳鼻科紹介 甲状腺の聴診→連続性雑音あればバセドウ病疑い】

こんにちは。ぼたもちです。

 

今日は【健診アプローチ】甲状腺腫大についてお話しします。

 

正直感覚的に診察している部分も多いので、今一度知識を整理してみました。

 

~結論~

側方からの観察で前方に凸・Pemberton徴候陽性・結節触知→内分泌科/耳鼻科紹介

甲状腺の聴診→連続性雑音あればバセドウ病疑い(腫大時のみチェック)

 

~受診者説明~

甲状腺腫大の原因のほとんどはバセドウ病か橋本病だが、健診指摘例のほとんどは治療の必要のないもの

結節もほとんどが良性で、悪性は2~3%

ただし、採血やエコー検査をしなければ詳細はわからないので、安心のために受診おすすめします。

 

~解説~

 

びまん性甲状腺腫大:バセドウ病、橋本病、単純性甲状腺腫、甲状腺腫瘍など

 

甲状腺腫大は側方から確認する(正面より側面の方が簡便でスクリーニングに適している)

輪状軟骨と胸骨上切痕を結ぶ線は通常直線だが、甲状腺腫大があると、前方に凸になる

これが有意かどうかの判断基準

 

Pemberton徴候(甲状腺腫大の所見)

両手の手をバンザイ→顔が赤くなる

 

DOCTORS MAGAZINE 202410

写真の説明はありません。

III度以上(側方でも腫大あり)→有意

II度(正面でわかるが、側方でははっきりしない)→頸部リンパ節腫脹や結節触知されれば有意

それ以外は問題なし

 

甲状腺全体がかたく腫大→ほとんどが橋本病

 

結節(表面平滑・可動性良好)として触れる→ほとんどが腺腫様結節

結節(硬い・ざらざらしている)として触れる→まずは乳頭がんを疑う

 

甲状腺直上で聴診→連続性雑音+=甲状腺Bruit バセドウ病で聴取する可能性高い

 

有意な腫大があれば、採血(TSH・FT4)・頸部エコーが必要となるため、内分泌科もしくは耳鼻科紹介

 

健診での甲状腺腫大の多くは機能異常を伴わない、治療の必要がない橋本病がほとんど。

 

80%は機能異常なし、10%が機能低下、10%が機能亢進

 

触診で腫大ありと判定されても、半数以上はエコーで腫大すらない。頸部の脂肪が多いと触診で偽陽性となりやすい(特に女性)

 

結節ある場合は、癌の鑑別のため穿刺吸引生検が考慮される